夜家に帰ると,家の前の電線にカラスがいる。
そのカラスは,気づいたときにはそこにいた。
そのうち,カラスが2羽になった。
2羽の距離が気になって,毎晩楽しみだった。縮まったりまた遠ざかったり,何があったか考えるだけでも楽しかった。
雨の日はいない。きっとどこかで雨やどりしているのだろう。それもまた想像が膨らんだ。
カップルに違いない。
ある日,カラスが1羽になった。
振られたのだろうか。
なんとなく寂しげに,電線に止まっている。
そのうち,電線にいたりいなかったりするようになった。
1羽しかいないんじゃ,家の前の電線にいる必要もないだろう。グレたら困る。そんなことを考えながら,今度は僕が少し寂しかった。
ところがある日,車を止めてドアを開けたら,カラスが2羽飛んでいくのが見えた。
僕の頭には一気に違うストーリーが出来上がった。
カラスは,毎晩,もう1羽が迎えに来るのを待っていたのだ。
パートナーが迎えに来ると,2羽で夜な夜などこかに遊びにいっていたのだ。
僕が見かけない日は,僕よりも早く相手が迎えに来た日。
それじゃあ明日から,カラスがいるときは,その子は待ち合わせ。相手が来るのをうずうずしながらまってる。カラスがいないときは,もう一緒にあそびに出かけた日。
どっちにしたって,なんだか幸せそうだ。
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