2012/09/04

賞味期限の日

月に1回くらいだろうか,私には「賞味期限の日」がある。
特に決まり決まった日というわけではない。
買い物に行く気がしないとき,冷蔵庫の中をあさるだけの話である。
そして賞味期限が切れた食べ物を探し出して,「ああそういえばこれ買ったな」と思いつつ,勇気を出して料理するのである。本当に腐ったものは別だが。
そういうときは結構豪勢な料理ができる。そして,食べるときも気合いが入るのである。これを食べても腹をこわさないぞ,と心に誓うのである。
腹をこわしそうだったら一口でやめようと,全身全霊で自分の下に神経を集中させ,最初の一口を食べるのだ。

たいがいはどうということのない,ただの料理である。

半透明になりひび割れだらけの生卵が出てきた。ところがこれは賞味期限を切れて4日しか経っていないのである。これは過去の経験からしてもおかしな話だ。思わず電気にすかして中を確認したが,ひよこの形は見えなかった。だが,過去の経験に引きずられると目の前の現実を見誤るのは世界の歴史が証明している。そういうわけで,そっと捨てたのである。

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