2010/05/17

postcards

絵葉書が好きです。

メールより,手紙より,絵葉書が好きです。

絵葉書のどちらを表というのか知らない。
まずそこから好きです。

絵が描いてある方が表なんじゃないかという気がする。メッセージは反対側に書くから。でも宛名はメッセージの隣。宛名は表のような気もする。年賀状は宛名が表。そうすると,絵が描いてある方は裏。
考えるとどんどんわからなくなる。表って何を言うのだ。

兎も角,どんな絵を選ぶか,まずそこが面白い。普通のアートと違う気がする。小さな紙切れに描くのだから,有名な芸術家の作品を縮小コピーしたものが際立つとも限らない。言葉を乗せたほうがいい時もあるけれど,下手にやると陳腐化する。写真でもいいわけだし。そして,あの狭い空間にどれだけ空白を作るのかという勇気も。色も。

そして,はがきは全てが丸見え。誰に見られても困らないような文章を書かなければけないような気がしてくる。だけれども,ゆっくり読んだ人には別の意味が伝わるようにも文章を考えたくなってくる。きっと誰が読んでもバレバレなのだろうけれど,そこはただの楽しみ方。何気ない事を書いていながら,なにか感じて欲しい。思ったとおりにいかなくても。

文字数も限られている。まるでツイッター。
しかも,線が引いてないから自由。字の大きさ,行間,すべて自由。

極めつけは宛名。
メッセージのとなり。ココがポイントで,恐ろしい存在感を示す。手紙ではただの包み紙なのに,一気に主役級に躍り出る。

送ることを前提に語ってきたのだが,実は送るのでなくても好きなのです。
安いし,小さいし,幅広いジャンルを楽しめるから。

先日,文房具屋で絵葉書を真剣に探していたら,テオフィル・アレクサンドル・スタンラン(Théophile Steinlen)というのを初めて見つけた。
作風はロートレックに似ていたので,勘違い。だがよく見るとぜんぜん違う。
有名な黒猫(le chat noir)の絵葉書。
これは誰にも送らずにとっておこう。


かつては絵葉書を3枚。一番いいのを好きな人に,2番目にいいのを大切な友人に,3番目を自分に。2番目と3番目は逆かもしれない。

将来の夢,絵葉書屋。壁一面に好きな絵葉書を貼り付ける。売れたらそこにまた新しい一枚。端っこに,送られた絵葉書を飾る。なんてどうだろう。

絵葉書は店で買わないと駄目だ。
でもそのうちネットに慣れるかも知れない。
絵葉書なんて古典的なものも,いずれなくなるかも知れない。
似た何かがきっとどこかに生まれている。

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