2009/09/15

硝子壜

不思議と心惹かれてしまうのが硝子壜。つい,捨てられずためこんでしまう。なんでなのだろう。
コカコーラの壜はスレンダー。
ビックルの壜はぽっちゃり系。
オロナミンCの首の長さも結構好きだし,
デカビタの安定感もいい。
ラムネの壜も。あのプラスチックがついてるのではなくて,全部硝子でビー玉が取り出せないのがいい。
ウェルキンソンのジンジャエールの壜。あの細さが気になる。
最近はペットボトルに変わってしまったけど,ぽんジュースの壜。
牛乳瓶も懐かしい。

ペットボトルと違ったよさがある。中の水が揺れても動じない安定感なのか。持ったときの重みか。持ったときの温かさか。中が少し屈折してよく見えないからか。なんとなく,別世界にある感じがする。口が細くて指も入らないし。口に入れるまでよくわからないどきどき感。どきどきしてるわけでもないけれど。ちょっとした期待みたいなもの。なんとなくわかっているけど,ちょっとだけ想像と違いそうな。


ぼろぼろな駝鳥-高村光太郎
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何が面白くて駝鳥を飼ふのだ。
動物園の四坪半(よつぼはん)のぬかるみの中では、
脚が大股(おおまた)過ぎるぢやないか。
頸(くび)があんまり長過ぎるぢやないか。
雪の降る国にこれでは羽がぼろぼろ過ぎるぢやないか。
腹がへるから堅(かた)パンも食ふだらうが、
駝鳥の眼は遠くばかり見てゐるぢやないか。
身も世もない様に燃えてゐるぢやないか。
瑠璃色の風が今にも吹いて来るのを待ちかまへてゐるぢやないか。
あの小さな素朴な頭が無辺大の夢で逆(さか)まいてゐるぢやないか。
これはもう駝鳥ぢやないぢやないか。
人間よ、
もう止(よ)せ、こんな事は。
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ここの瑠璃色の風。不純物の多い硝子についたほのかな空の色と草の色。それが,ダチョウの硝子のような目に映って見える。

古い屋敷の硝子の窓。ほんの少し歪んで雨が降っているように見える。晴れているのに雨のほうで,なぜかひんやりとした空気が流れてくるように感じるときがあって,落ち着く。

電車の窓。実は少し歪んでいる。自分の顔が,ほんの少し歪んでいる。頭がやたら長かったり短かったり,ちょっと顔の位置をずらして遊ぶと面白い。あごが伸びたり,鼻が伸びたり。夜だと,黒いところだけ外とつながって,白いところは外に出られない。

硝子。硝子。

どれも硝子。

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