2009/09/14

毛虫たち


08/09/2009
Originally uploaded by taro.waseda



衝撃的なまでに毛虫がたくさん歩いていたのである。すっかり葉桜となり,もう紅葉が始まった桜並木の下を。

長い桜並木の下に,たくさんの毛虫が歩いている。半分は踏み潰され,残りの半分が踏まれるために,それでもひょっとしたら踏まれずにすむかもしれないという淡い期待を抱いて歩いている。いつか蝶になれるかもしれないと希望を抱きつつ,蛾になってしまうかもしれない不安を抱きつつ。

どこまでもどこまでもそんな不気味な道が続いていた。

ちょっとした昔話を思い出した。

日露戦争の頃,戦地へ向かう列車の車窓からは,ずっと,戦死した日本兵達の墓が見えていたのだそうだ。名誉の戦死なんていう格好いい言葉を本気にした一部のお偉いさんが,これから戦地に赴く兵士達を勇気付けるように考えたらしい。世の中に本音と建前があるのはいいとして,悪い建前を本気にするのはよろしくない。

毛虫たちの死体の中をかきわけているうちに,なんだか毛虫の墓標の中を進んでいるように思えてきた。

もしこの毛虫たちが毛虫でなかったなら。

しゃがみこんで群れをなす毛虫たちを見て,鳥肌が立った。

ちょっとだけ仏陀な気持ちになった。
生き物全てに付きまとう生と死だけは,現実だ。

虫が嫌いそうなお姉さま方がキャアキャア騒ぎながら通り抜けていった。
「どうして今頃なのかしら」という声が聞こえた。
確かに,どうして今頃なのだろう。いつもは夏の初め,もっと若葉の頃に毛虫が大量発生するはず。気象の影響か,それとも,桜の逆襲か。毛虫の発生にあわせて落葉する。毛虫にとっては辛い話だ。

2 件のコメント:

haricot さんのコメント...

 日記とは関係無いのですが…,mixiの日記一覧に載る時に一慶君のだけ日付が9月半ばになっていたので,気になってしまいましたー^^

ikkei.kojima@gmail.com さんのコメント...

予約投稿のつもりが公開されてしまってたね。どうもありがとう。いったん消すのもなんなので,そのままにしておこう(笑)